けいしょくどうしんぞうえこーけんさ(けいしょくどうしんぞうちょうおんぱけんさ)
経食道心臓エコー検査(経食道心臓超音波検査)
1人の医師がチェック 1回の改訂 最終更新: 2025.09.24

検査部位

心臓

対象疾患

など

概要

経食道心臓エコー検査経食道心臓超音波検査)とは、食道から心臓に向かって超音波を当て、反射してきた情報をもとに映像を構築し、心臓の状態を調べる検査です。通常の心エコーでは身体の表面にプローブ(超音波の送受信を行う機械)を当てますが、経食道心エコーでは口からプローブの管を入れ、食道にプローブを当てることで観察します。
具体的には心臓の形や構造、動き、血液の流れに問題がないかなどを確認できます。被ばくの心配はありません。経胸壁心エコー検査(通常の心エコー検査)に比べ患者さんの負担が大きい検査ではありますが、経胸壁心エコー検査で観察しにくい左房(心臓の裏側にあります)を観察するのに適しています。例えば、左房内の血のかたまりを見つけたり、感染性心内膜炎などの診断をしたりするのに役立ちます。

メリット

  • 通常の心臓エコー検査(経胸壁心エコー検査)ではなかなか観察することができない左房をよく観察することができる
  • X線を使わないため被ばくしない
  • CT検査やMRI検査と違って、静止画ではなく心臓の動いている様子をそのまま観察することができる
  • 通常の心エコーよりは多少高額であるが、CT検査やMRI検査に比べて費用が安く済む

デメリット

  • 検査を行う人の技量によって結果が左右される
  • 通常の心臓エコー検査よりも患者さんの負担が大きい

詳細

経食道心臓エコー検査(経食道心臓超音波検査)とは、食道から心臓に向かって超音波を当て、反射してきた情報をもとに映像を構築し、心臓の状態を調べる検査です。超音波とは人には聞こえない高い振動数の音のことです。
血液や柔らかい組織など超音波が伝わりやすいものは画像では黒っぽくなります。一方、骨のように超音波が伝わりにくいものは白っぽく見えます。このように超音波の伝わりやすさの違いを利用して画像を構築することで、心臓の形・動き・血液の流れに異常がないかを調べることができます。
通常の、胸からプローブ当てて心臓を観察する経胸壁心エコー検査は前面から心臓を観察するため、心臓の後側にある左房という部屋の観察が難しい場合があります。それに対し、経食道心臓エコー検査では食道にプローブを当てることで後面から心臓を観察します。そのため、経胸壁心エコー検査ではなかなか観察することができない左房をよく調べることができます。

検査の流れ

  1. 超音波検査は室内で行う。身体の向きは左側が下になるようにする
  2. 喉に局所麻酔をする。麻酔はスプレータイプのものやシロップタイプのものがある
  3. 直径1cmほどのプローブの管を飲み込み、口から食道に入れる
  4. プローブの向きを変えたり、出し入れをしたりできるよう、検査中はマウスピースをくわえた状態で行う
  5. 調べたい情報がビデオに記録される(測定方法は通常の心エコーと同じ)
  6. 検査時間は20-30分である

検査を受ける際の注意点

  • 食事は検査前6時間、水分は検査前4時間から摂らないようにしてください。
  • 入れ歯を外すことができる場合は、外しておいてください。
  • 心臓の検査ですが食道から観察するので、上半身の服を脱ぐことはありません。身軽な服装で来院してください。
  • 食道に病気のある場合は検査ができないこともあるので、医師に相談してください。
  • 検査後は、喉の麻酔が取れるまでの1-2時間は食事・水分を摂らないようにしてください。水分を飲んでみてむせるなどの違和感がなくなったら、食事・水分を摂っても大丈夫です。

心臓の構造

心臓には右房、右室、左房、左室という四つの部屋があります。大静脈を通って全身から戻って来た血液は右房に入り、右室へと流れ、肺動脈を通って肺へ向かいます。肺で酸素を取り込んだ後、肺静脈を通って左房に入り、心臓に戻ってきます。左房から左室に流れていき、左室から大動脈を通って再び全身へ血液が送られます。
心房から心室へ血液が流れる際に血液が逆流しないように、房室弁という弁が左右にあります。左房と左室の間には僧帽弁、右房と右室の間には三尖弁という名前の弁がついています。また、房室弁の開閉を調節するために、心室には乳頭筋という筋肉があります。そのほか、大動脈での逆流を防ぐための大動脈弁、肺動脈での逆流を防ぐための肺動脈弁という弁も存在します。

測定方法

経食道心臓エコー検査における撮影方法にはいくつかの種類があります。少し専門的な内容になるので、興味がない人は読み飛ばして構いません。

Bモード(断層法)

プローブ(超音波の送受信を行う機械)を当てる位置により、様々な心臓の断面図が得られます。心臓の構造を知ることができます。心臓の中に血栓ができていないか、血栓ができそうな状態でないか(もやもやエコー)、心臓の弁に細菌がついていないか(感染性心内膜炎)などを確認していきます。

Mモード

一直線の超音波ビーム上にある構造物の動きを、横軸に時間をとって記録します。心臓の構造物の厚さや径の大きさの経時的な変化、つまり動き(Motion)を知ることができます。そのため、弁や心筋などの心機能を数値化することができます。

ドプラモード

血液の流れの向きを色で表します(プローブに向かってくる血液は赤、離れる血液は青)。これにより血液が逆流していないかを調べることができます。例えば、弁がしっかり閉まらない病気(閉鎖不全症)では、弁から血液が漏れ出ているのが観察されます。
また、ドプラモードでは血液の流速も調べることができます。弁に狭窄があるとその箇所では血流が速くなる(ホースの口を細くすると勢いよく水が出るのと同じ原理)ので、血液の流速を調べることで弁の狭くなる病気(狭窄症)を見つけることができます。

経食道心臓エコー検査(経食道心臓超音波検査)のタグ

カテゴリ
病気