きかんしきょうけんさ
気管支鏡検査
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最終更新: 2025.09.24
検査部位
気管、
対象疾患
概要
メリット
呼吸器疾患の診断や、咳や痰の原因を調べることができる。
デメリット
- 気道(口から肺までの空気の通り道)に管が入るので、侵襲性が高く、息苦しさを感じたり、咳が出たりすることがある
- 気管支鏡を用いて組織や細胞を採る際には出血することがある
詳細
気管支鏡検査は気管や気管支、肺を調べる内視鏡検査の一つです。直径5mm程度のやわらかい管(これを気管支鏡といいます)を口または鼻からいれて、気管、気管支へと進めていきます。気管支鏡の先端についているカメラで気管、気管支の中を映し出し、異常がないかどうかを観察します。また、組織や細胞、分泌物を採取することで詳細な検査を行うことにも使われます。これによって呼吸器疾患の正確な診断をすることができ、治療方針の決定に有用です。気管支鏡で行うことのできる検査には以下が挙げられます。
- 経気管支肺
生検 (TBLB):病変 部の組織を鉗子(小さなワニ口クリップのような器具)でつまんで採る - 気管支
肺胞 洗浄(BAL):生理食塩水を注入して回収し、そこに含まれる細胞の数や特徴を調べる - 擦過細胞診:病変部をブラシで擦って細胞を採る
- 経気管支細胞診:気管や気管支の壁に針を刺して病変部(主に
リンパ節 )の組織や細胞を吸引する
検査の流れ
- 検査の直前の食事は摂らないようにする(例:午前中の検査であれば朝食を抜きにする)
- 検査前に、唾液の分泌を抑える薬(硫酸アトロピン)と鎮痛薬(ペンタゾシン)を筋肉注射する
- スプレー式の麻酔薬をのどにかける。鼻から気管支鏡をいれる場合は麻酔薬を鼻にも塗る
- 検査台に仰向けになる。麻酔薬が目に入らないように、目を覆い隠す
- 酸素濃度モニターや
心電図 モニターを装着する。また、検査前の血圧を測定する - 口または鼻から気管支鏡を入れる。口から気管支鏡を入れる場合は噛まないようにマウスピースをくわえる
- 気管支鏡を気管、気管支へと進めていき、病変がないかどうかを観察する
- 必要に応じて、詳細な検査を行うために気管支鏡で組織や細胞、分泌物などが採取される。息を止めるように医師から指示される場合がある
- 検査終了後に出血などが起きていないことを確認できたら、気管支鏡が抜き取られる
- 異常がないか確認するため、血圧を測定したり、
胸部X線検査 (胸部レントゲン 検査)を行ったりすることがある
検査を受ける際の注意点
- 検査の直前の食事は摂らないようにしてください(例:午前中の検査であれば朝食を抜きにする)。
- 気管支鏡を用いて組織や細胞を採る際に出血することがあります。出血を軽減させるため、血をサラサラにする薬(ワーファリンなど)を服用している場合は薬の服用を中断します。
内服薬 の種類によって中止する期間が異なるので、検査前に医療者に伝えてください。 - 検査前に、唾液の分泌を抑える薬(硫酸アトロピン)と鎮痛剤(ペンタゾシン)を筋肉注射します。緑内障、
前立腺 肥大、心臓病、糖尿病などの患者さんは、これらの薬を使用できないことがあるので当てはまる場合は医療者に伝えてください。 - のどにスプレーで局所麻酔をすることで、嚥下反射(のどが刺激されるとオエッとなる)や咳嗽反射(気管が刺激されると咳が出る)を抑えます。そのほか、静脈麻酔を行うことで眠った状態で検査をすることもできます。その場合は、検査後に麻酔から目を覚ます薬を注射します。
- のどにした局所麻酔が切れるまでしばらく時間がかかります。検査後2時間くらいは飲食は控えるようにしましょう。2時間ほど経って水を少量飲んでむせないことを確かめられたら、そのあとは食事を摂っても構いません。
- 検査の
合併症 として、肺・気管支からの出血、気胸、発熱・肺炎、麻酔薬によるアレルギー ・中毒などが挙げられますが、起きたとしても一時的である場合が多く、重篤な状態になることは極めてまれです。