カリウム吸着薬(高カリウム血症改善薬)
主に腸管内で薬剤成分がもつ陽イオンをカリウムイオンと交換し、吸着させたカリウムイオンごと薬剤成分を体外へ排泄させて血液中のカリウムイオン濃度(カリウム値)を下げる薬

カリウム吸着薬(高カリウム血症改善薬)の解説

カリウム吸着薬(高カリウム血症改善薬)の効果と作用機序

  • 主に腸管内でカリウムイオンを吸着し、そのまま体外へ排泄させることで血液中のカリウムイオン濃度(カリウム値)を下げる薬
    • 血液中のカリウム値が高い状態が続くと高カリウム血症が引き起こされる
    • 慢性腎臓病などの腎機能が低下する病態では血液中のカリウム値が高くなりやすくなる
    • 本剤は主に腸管内で薬剤成分がもつ陽イオンをカリウムイオンと交換し、吸着したカリウムイオンごと薬剤成分を体外へ排泄させることで結果的に血液中のカリウム値を低下させる

カリウム吸着薬(高カリウム血症改善薬)の薬理作用

カリウムイオンは細胞内液の浸透圧調節、神経の伝達、筋肉の収縮、体液バランスの維持などに重要な働きを担う電解質であり、血液中のカリウムイオンの濃度(カリウム値)が高い状態が続き高カリウム血症が引き起こされると筋力低下、吐き気、しびれなどの症状があらわれ、場合によっては不整脈などを引き起こすこともある。慢性腎臓病(CKD)など、腎機能が低下する病態では血液中のカリウム値が高くなりやすくなる。

本剤は主に腸管内で本剤成分(本体)がもつ陽イオン(例えば、ポリスチレンスルホン酸カルシウムであればカルシウムイオン)と腸管内のカリウムイオンが交換され、薬剤成分(本体)に吸着されたカリウムイオンは、そのまま薬剤成分と一緒に糞便中に排泄される。これにより、腸管内のカリウムイオンが体外へ排泄され、結果として血液中のカリウム値を下げる効果が期待できる。

カリウム吸着薬(高カリウム血症改善薬)の主な副作用や注意点

  • 消化器症状
    • 便秘、吐き気、食欲不振などがあらわれる場合がある(便秘は主に経口投与した場合)
    • 潰瘍腸閉塞イレウス)などに注意が必要となる場合がある

カリウム吸着薬(高カリウム血症改善薬)の一般的な商品とその特徴

カリメート

  • ポリスチレンスルホン酸カルシウム製剤
    • 本剤のもつカルシウムイオンと腸管内のカリウムイオンを交換させる製剤
  • 剤形に散剤、ドライシロップ剤、液剤(経口液)があり用途や服薬状況などによって選択される
    • 散剤は経口投与のほか、注腸投与で使用する場合もある
  • カリメート経口液に関して
    • 通常の製剤(ノンフレーバー製剤)とフレーバー製剤(オレンジフレーバー、アップルフレーバー)があり服薬状況などによって選択が可能

ポリスチレンスルホン酸Ca「三和」

  • ポリスチレンスルホン酸カルシウム製剤
    • 本剤のもつカルシウムイオンと腸管内のカリウムイオンを交換させる製剤
  • 剤形にゼリー剤と顆粒剤がある
    • ゼリー剤には服薬補助の為の専用フレーバーがある

ケイキサレート

  • ポリスチレンスルホン酸ナトリウム製剤
    • 本剤のもつナトリウムイオンと腸管内のカリウムイオンを交換する製剤
  • 剤形に散剤、ドライシロップ剤があり用途や服薬状況などによって選択される
    • 散剤は経口投与のほか、注腸投与で使用する場合もある

ロケルマ懸濁用散

  • ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物製剤
    • 本剤のもつ水素イオン及びナトリウムイオンと腸管内のカリウムイオンを交換する製剤
  • 薬剤を適量(約45mL/大さじ3杯ほど)の水に懸濁してから服用する

ビルタサ懸濁用散

  • パチロマーソルビテクスカルシウム製剤
    • 本剤のもつカルシウムイオンと腸管内のカリウムイオンを交換する製剤
  • 薬剤を適量(約20ー40mL)の水に懸濁してから服用する(ただし、薬剤2-3包をまとめて服用する場合の水の量は約40mLを基本とし、足りない場合はさらに水を加えて懸濁させる)