しきゅうないまくしょう(ちょこれーとのうほうをふくむ)
子宮内膜症(チョコレート嚢胞を含む)
子宮内膜が子宮以外の場所にできる病気。月経のたびに強くなる腹痛、性交時・排便時の痛みなどを起こす。
13人の医師がチェック 217回の改訂 最終更新: 2025.11.26

子宮内膜症のよくある疑問

子宮内膜症は妊娠が可能な女性の約10%に発症する身近な病気です。どんな症状がでたら子宮内膜症を疑えばいいのでしょうか。子宮内膜症に関する日常生活で気をつけることなどについて解説します。

1. どんな症状がでたら子宮内膜症を疑ったほうがいいの?

子宮内膜症は妊娠が可能な女性の約10%に発症する身近な病気です。どんな症状があらわれたら子宮内膜症を疑えばいいのでしょうか。

  • 子宮内膜症でよくあらわれる症状
    • 強い生理痛(月経痛)
      • 症状が以前より強くなった 
      • 痛み止めの量が増えた
      • 日常生活に支障がでてきた 
    • 不妊症
    • 性交痛
  • 子宮内膜症であらわれることがある症状
    • 生理のときに腰痛などがある
    • 排便の時に痛みがある
    • 便秘(べんぴ)
    • 頻尿(ひんにょう)
    • 生理のとき以外にも出血がある

思い当たるものがあれば、症状の原因を調べるために産婦人科などの受診を検討してみてください。子宮内膜症であれば、時間とともに進行して症状が重くなることがあります。

また、子宮内膜症ではなかったとしても、生理痛で辛いこと自体が治療の対象となり、薬などを使った治療で症状が緩和され、生活がしやすくなる可能性があります。

医療機関を受診すると、いろいろな検査を想像して怖いと思うかもしれません。「性病ではないか」「妊娠できるのだろうか」と、不安で頭がいっぱいになってしまうかもしれません。しかし、いきなり多くの検査を受けなければいけないわけではありません。医師に相談して話を聞いてもらうだけでも、病気がありそうかのあたりがつき、不安が軽減されるはずです。

子宮内膜症が見つかれば、早期に治療することで痛みを和らげるなどの効果を得ることができます。また、子宮内膜症を治療することで、不妊症だった女性が妊娠できる場合もあります。勇気をもって一歩踏み出すことが大事です。

2. 子宮内膜症の人は運動はしていいの?

運動が子宮内膜症の症状を悪化させることはありません。ただし、痛みがひどいときに無理に運動をする必要はありません。むしろ身体を休めることをお勧めします。

体調がよい場合に運動をするとストレスを発散でき、気持ちもリフレッシュできると思います。

子宮内膜症の症状が重いと精神的にもストレスがかかった状態になりがちです。運動が苦手だという人には、ウォーキングやストレッチなど日常生活より少し負荷がかかる程度の運動がおすすめです。生活の中に上手に運動を取り入れてみてください。

3. 食事で子宮内膜症は予防できる?

子宮内膜症の予防にはっきりとした効果の示された食べ物はありません。可能性のある成分として、長鎖ω(オメガ)-3脂肪酸に関する報告があります。長鎖ω-3脂肪酸はDHAやEPAなどのことで、青魚やくるみに多く含まれています。長鎖ω-3脂肪酸を多くとる人で、子宮内膜症が少なかったとするものです。

参考文献:Hum Reprod.2010;25:1528-35

食事内容を考える前提として、食事は日々の栄養バランスを保つものと考えてください。子宮内膜症への影響を気にするあまり栄養バランスに偏りが生じては、食事に気を遣う意味が少ないといえます。また、病気への効果を気にしすぎていては、本来食事がもつ楽しみまで半減してしまいます。月並な意見かもしれませんが、規則正しくバランスの取れた食事を楽しみながら続けることが何より大事です。

4. 子宮内膜症に効果のあるサプリメントはある?

子宮内膜症を予防したり症状を和らげたりするサプリメントは知られていません。サプリメントは薬のように治療効果をあらわすものではありません。頼りすぎると、多量摂取などでかえって害を引き起こす恐れもあります。

もし、サプリメントで栄養のバランスを整えようとしているのであれば、普段の食事を見直すことのほうが大事だと思います。

とはいえ、逆に言えば特定の栄養素の不足により子宮内膜症が起こることもありません。子宮内膜症になったからといって「栄養が偏っているせいだろうか」と考える必要はありません。

5. 子宮内膜症の痛みはどうすれば和らぐ?

子宮内膜症の症状には痛みがつきものです。特に月経(生理)の前後は痛みは日常生活に支障をきたすこともあります。痛みが強いときには以下のような工夫を試してみてください。

  • お腹を温める 
  • 身体を締め付けるような服装は避ける 
  • 我慢せずに鎮痛剤を使う

お腹を温める

お腹が痛いとき、痛む場所を温めると症状が和らぐ経験したことがある人は多いと思います。患部を温めることは子宮内膜症の腹痛でも効果が期待できます。カイロなどを使って温めるとよいと思います。やけどあせもには気を付けてください。

締め付けない服装にする

腹痛をできるだけ和らげるには、楽な格好で過ごすことが有効なことがあります。少なくとも腹部を強く締め付ける服装は避けたほうが無難です

我慢せずに鎮痛剤を使う

痛みがあっても我慢し続ける人がいます。薬にあまり頼りたくない、というのがその理由とよく聞きます。しかし、痛みを無理に我慢し続けることはありません。子宮内膜症で使われる鎮痛剤には依存性はありませんので安心してください。

ただし、鎮痛剤の量が多くなると胃潰瘍(いかいよう)や腎臓の機能が低下したりするなどの副作用があらわれることがあります。鎮痛剤の量が増えてきたらホルモン療法などの治療を追加で行うことを検討してよいかもしれません。新しい治療を始めるのは気が重くなりますが症状と付き合いながら生活を営むうえでは大事なことです。医師に症状をしっかりと伝えて自分に合った治療を相談することが大事です。

6. 子宮内膜症は自然治癒することはある?

子宮内膜症が自然治癒することはまれです。

子宮内膜症は女性ホルモンによって進行するので、時間とともに症状が重くなります。ゆえに自然治癒は難しいと言わざるをえません。ただし、閉経後は女性ホルモンが減少するので、子宮内膜症の症状は改善します。また、妊娠すると症状がよくなることも知られています。

閉経前や妊娠などの特殊な状況を除けば子宮内膜症の自然治癒は難しく、子宮内膜症と診断された場合は定期的に医療機関を受診して適切な治療を受けることが大事です。

7. 子宮内膜症は予防できる?

子宮内膜症が発生する原因についてはまだ未解明なことがあり、そのため予防法も確立できていません

子宮内膜症の発生と関連性があるものを挙げて、それらに注意をうながす意見もあります。しかし、いくら予防に気を配っていても子宮内膜症を発症する危険性を0%にすることはできません。子宮内膜症はむしろ予防できる病気ではないと考えて、早期に発見して治療することを重視するのがいいと思います。

生理痛が徐々に重くなったり月経時の出血が多くなったりするのは、子宮内膜症を疑うサインです。「今回はたまたま」、「そのうち良くなる」などと考えずに産婦人科などの医療機関を受診してみてください。子宮内膜症であれば治療から多くの効果を得ることができます。

8. 子宮内膜増殖症と子宮内膜症はどう違う?

子宮内膜増殖症と子宮内膜症は違う病気です。

子宮内膜増殖症子宮内膜が厚くなる病気です。女性ホルモンの影響が本来より強く出ることなどが原因と考えられています。子宮内膜増殖症子宮体がんの手前の状態として扱われることがあります。

子宮内膜増殖症の治療には黄体ホルモンの服用などがあります。がんに進行する心配があると判断された場合は子宮を取り除く手術を検討します。

  子宮内膜症 子宮内膜増殖症
子宮内膜が増える場所 子宮以外 その場(子宮内)
主な症状 月経困難症、下腹部痛、過多月経不正出血 過多月経不正出血

子宮内膜増殖症の症状は、不正出血過多月経などです。他の子宮の病気(子宮内膜症など)でも同じような症状がでることがあるので、診断のためには検査が必要です。子宮内膜増殖症と子宮内膜症は症状だけで区別はできませんので、心配な症状があるときには医療機関を受診して原因について調べることが大事です。

9. 子宮内膜症を治療すると不妊が治るか?

子宮内膜症は不妊症の原因の一つです。子宮内膜症が不妊症の原因と思われた場合、子宮内膜症の治療(手術)をすることで妊娠できる可能性が高くなります。

過去に腹腔鏡手術と腹腔鏡検査を比較した研究では、手術をしたほうが妊娠(自然妊娠)できる可能性が高かったとする報告があります。腹腔鏡手術は子宮内膜症の部分を取り除いたり癒着をはがしたりします。一方、腹腔鏡検査では腹腔の中を観察し子宮内膜症の診断はしますが治療はしません。腹腔鏡検査と腹腔鏡手術の比較によって、腹腔鏡で観察するだけではなく腹腔鏡手術そのものの効果で不妊治療となることが示されました。

しかし、子宮内膜症の治療をしたからといって必ず妊娠できるようになるわけではありません。手術には合併症など好ましくない結果が生じることもあります。治療を受けるにあたっては、効果や合併症などについて医師としっかりと相談することが大事です。

10. 子宮内膜症の人は妊娠できる?

子宮内膜症の人がどれくらいの確率で妊娠できるかは一概には言えません。それは、子宮内膜症が発症した部位や進行の度合いなど、個人差が大きいためです。子宮内膜症を持ったままでも妊娠できる人は多くいます。その一方で子宮内膜症が原因で不妊症になっている人もいます。

子宮内膜症が軽い人では、妊娠への影響は少ないかもしれません。つまり、治療しなくても自然な性交渉のすえに妊娠が成立する人もいます。

一方で、子宮内膜症が重く不妊症の明らかな原因と思われることもあります。子宮内膜症以外に不妊症の原因が見つからない場合は子宮内膜症を手術することも選択肢の一つです。また、それと同時に人工授精や体外受精などの生殖補助医療を検討していいかもしれません。

子宮内膜症は症状や進行度などさまざまであり、不妊症がある場合でも人それぞれで適した対応が異なります。さらに不妊症を治療する医師と子宮内膜症を治療する医師は別々に担当することが多いです。したがって両者の意見をしっかりと聞き、自分の考えを伝えることが最も適した治療法を選ぶうえで大事です。

11. 子宮内膜症を予防できる食べ物はある?

子宮内膜症を予防できることがはっきりしている食べ物はありません

ω(オメガ)-3脂肪酸という成分は子宮内膜症の予防につながると考える説があります。ω-3脂肪酸はDHAやEPAなどの総称です。青魚やくるみに多く含まれています。アメリカの調査データによる研究は、観察対象になった人々をω-3脂肪酸の摂取量ごとに5段階に分けたとき、ω-3脂肪酸の摂取量が最も多いグループは最も少ないグループに比べて子宮内膜症になった割合が22%少なかったと報告しています。

子宮内膜症と食事の関係については、今も多くの検討が行われています。これからも子宮内膜症と食べ物の間に何らかの関係が見つかるかも知れません。

しかし、食事を考える上では日々の栄養バランスを保つことが前提です。食事と関係する病気は子宮内膜症だけではありません。子宮内膜症への影響を気にするあまり栄養バランスに偏りが生じては食事に気を遣う意味が少ないともいえます。

またω-3脂肪酸の多い食事を長年続けても子宮内膜症になる確率はゼロにはなりません。残念ですがどんなに気を付けても子宮内膜症になるときはなります。

自分で収集した情報を実際の食生活に応用しようと思うときは、好きなものを食べられる楽しい生活とのバランスを考えて、自らの価値観に基づいて判断することをお勧めします。

参考文献:Hum Reprod.2010;25:1528-35